自分の意志で行動できているのか!?(ファスト&スロー 感想その1)

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 行動経済学という学問分野をご存知でしょうか。1990年代から、話題になり始め、2002年にダニエル・カーネマンがノーベル経済学賞を受賞したことで、一般にも知られるようになりました。もとは社会心理学から発展した学問ですが、経済をはじめ、様々な分野で応用されています。

 今回は、ダニエル・カーネマンの一般読者向けの著書「ファスト&スロー」を読んだので、私が興味をひかれた内容について一部を紹介したいと思います。

 皆さんは自分の生活において、どのくらい自分の“意志”で決定し、行動できているでしょうか?

 自分の行動だから、自分で全て決めているのが当たり前でしょうか。いえいえ、そんなことはない、我々は様々な外的要因から影響を受けて、自分自身の行動が決定されているということが分かっています。

 しかも、驚くべきことに、そうしたことが無意識にそう、自分の行動が外的要因によって影響を受けていることに気づかずにいるというのです。にわかには信じがたいことではありますが、どうやらこれは確かなようです。

 例えば、“老人”を連想するキーワード(白髪、杖など)を聞いただけで、歩く速度が遅くなるという実験結果があるそうです。(もちろん、例外や条件がありますが、多くの人があてはまるそうです。)

 しかも、自分の歩く速度が変わったことに本人は気づかない、つまり、受けた外的要因によって自分の行動が変化したことに気づかないらしいのです。

これは一般にプライミング効果(先行刺激)と呼ばれています。我々人間が生物と生き残るためには、様々なことを素早く察知し、行動に生かす必要があるため、このような習性が身についているのだと考えられます。

 しかしながら、現代社会では、無数の刺激が飛び込んできて回避するのは非常に難しい状況になっています。商品のコマーシャルから、政治的主張等々、日々膨大な量の情報が押し寄せてきます。

 我々は、無意識のうちにそれらの情報に左右され行動しているにもかかわらず、その自覚がないのです。この事実を、多くの企業等が利用し実行しているのはとても恐ろしいことではないでしょうか。

 プライミング効果の対抗策としては、まずは、無意識に目を向けることだそうです。自分決定は本当に自分の意志なのか。重要な決定ほどよく考えてみましょう。なかなか自分のことを客観的に考えるのは難しいですが、プライミング効果を知っているだけでも、少し冷静になれるのではないでしょうか。  

 そして、もう一歩進んで、自分のために利用できるようになれるといいなと私は思っています。商業的な利用以外にも、自分自身へポジティブな投げかけをしたり、部屋に楽しい思い出を飾ったり、笑顔を心掛けたりすることで、常に自分に楽しいという先行刺激を与えることで、本当に生活が楽しくなっていくのではないかと期待しています。

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